ピエール瀧(?)フィーバーなので「凶悪」について書いていこうと思います。
シンプルに好きな作品なんですけど凶悪犯罪の実話をもとにしているため、結構胸糞悪い映画です。
こういう気分の時にみたらいいよ!というのが特に思いつきませんがダークサイド・アングラな部分を見たい気分の時とかがいいんじゃないでしょうか。
「冷たい熱帯魚」とかも実話を元にした胸糞映画として有名ですね。
映画を見てから小説を読んじゃうくらいハマってしまいまして少しサイコ感のある中毒性のある映画です。
山田孝之・ピエール瀧・リリー・フランキーの三者三様の狂気が注目ポイントです。
ある日、ジャーナリストの藤井(山田孝之)は、死刑囚の須藤(ピエール瀧)が書いた手紙を持って刑務所に面会に訪れる。須藤の話の内容は、自らの余罪を告白すると同時に、仲間内では先生と呼ばれていた全ての事件の首謀者である男(リリー・フランキー)の罪を告発する衝撃的なものだった。藤井は上司の忠告も無視して事件にのめり込み始め……。
映画「凶悪」登場人物
山田孝之 藤井修一 役
スクープ雑誌「明潮24」の記者。
須藤の告発から事件の取材を進めていく。
ピエール瀧 須藤純次 役
元暴力団組員の死刑囚。
先生への復讐心から、藤井に余罪を告発する。
リリー・フランキー 木村孝雄 役
先生と呼ばれている不動産ブローカー。
金のために人を殺す黒い錬金術師。
池脇千鶴 藤井洋子 役
藤井の妻。
母の介護に疲れており藤井に不満を漏らしている。
吉村実子 藤井和子 役
藤井の母。
重度の認知症で洋子に介護されている。
松岡依都美-遠野静江 役
須藤の内縁の妻。
セクシー担当。須藤の悪事については全部知っている。
死刑囚須藤の告白
ピエール瀧演じる須藤が獄中で記者藤井に世に出ていない事件について語ります。
最初は上司から断るように支持されたものの、
須藤からの聞き取りをもとに取材を進めていき、調べていくうちに次第に事件にのめり込んでいくのでした。
最悪のタッグの誕生
先生こと木村が借金を踏み倒そうとした相手をカッとなって殺害し、
死体の処理に困った先生が須藤を頼りにしたのがきっかけでした。
須藤が「ぶっこんじゃましょう」とか焼却炉にぶっこむためにナタで男の身体を軽妙に切っていく、木村も楽しそうに「燃やしてみたいからやらせて」
とのやり取りがあり2人のサイコ感が際立ちます。
カネに汚い戦略家の先生と、武闘派の須藤の最悪のタッグが生まれたのです。
のちに二人の足りないところを補い合う2つの車輪だと先生は語るのでした。
保険金殺人の闇
借金と重病を抱えた電気屋の主人が多額の保険金を掛けられてアルコールの大量摂取で自殺した事件。
藤井が取材を試みるも警察は自殺として処理をしているがどうやらその家族は多くを語ろうとしない。
実は、借金で首が回らない家族が先生に主人の殺害を依頼して保険金で借金を払うというものだった。
依頼をする家族の表情は浮かないものだったがお金を渡されると大切に抱え込み、
「家族が生きるためにはこれしかない」と依頼するのでした。
方法はひたすら酒を飲ませ続けられるという殺害方法でした。
実行日当日、主人は「死にたくない家に帰りたい」と嘆くも
先生が家族に電話すると妻が「もっと飲ませてください」と引き続き依頼するのでした。
家族3人が日常の食卓を囲む風景がこれもまた残酷でした。
「もっと飲ませてください」と明確な指示を行う、直接手を汚さない「凶悪」がそこにありました。
殺害方法はひたすら主人に酒を飲ませ続け、スタンガンで痛めつけるなど残虐極まりないものでした。
その様子は狂気そのもので無邪気にはしゃぐ先生の様子や痛めつけること自体を楽しむ須藤などそれはひどいものでした。
生き埋め事件
先生の転がしていない土地があるから埋めちゃおうとの提案に
須藤が「よし、ぶっこんじゃおう」というテンポで生き埋めにしてしまいます。
このあたりの軽さが恐ろしく、次のシーンにはみんなでクリスマスパーティーを行っているのです。(マジキチ)
告発に執着する藤井の狂気
藤井は先生の裏付け捜査の過程で何日も家に帰らず取材を続けていました。
死んだ人の魂に報いるために事件を世に出したいという熱い情熱を妻に語るも、
母の介護を押し付けられてノイローゼのは「私は生きている、あなたと普通の生活が送りたいだけ」と告げるのです。
藤井もまたつらい家庭の状況を妻に押し付ける「凶悪」がありました。
妻も介護のノイローゼから母に暴力をしていることを告白します。
このあたりはあぁ、誰も悪くないのに・・・・と憂鬱になるシーンでした。
無事に告発の記事を発表して事件の関係者は逮捕されます。
しかし、藤井の顔は晴れません。事件を深く知れば知るほど藤井は先生の厳罰を望むようになります。
現状の告発の無期懲役程度では到底許せるものではない。
妻に離婚を突きつけられるもなお先生を死刑にするための証拠集めに奔走するのでした。
最後に先生と面会をした藤井は
「私を一番強く殺したいと思っているのは被害者でもおそらく須藤でもない」
と言われ、指をさされるのです。
須藤の凶悪さ
服役中の須藤は心を入れ替えた更生した人間のように見えます。
しかし、これは本当の姿なのでしょうか。
死刑囚である須藤は死刑が近づくに連れて生への執着が湧いてきました。
さらに死刑を延期するために記者を利用したと供述しました。
自分が死刑なら先生も死刑に値すると語りました。
須藤の人間性については裏切られることが嫌い、身内に優しいが裏切られると激怒するという敵に回したくないタイプの人間でした。
舎弟が一人で逃げようと先生に逃走資金を求めたということを先生から吹き込まれて舎弟を殺してしまいますが、
おそらくこれは思い込みで事件を知っている人間を減らしたいという先生の思惑にまんまとハマってしまった格好です。
ピエール瀧について思ったこと
最近話題のピエール瀧ですが、覚せい剤を打つシーンなどもありこの撮影中などにもコカインを使用していたのでしょうか。
刑務所、法廷、覚醒剤使用シーンなど撮影をするなかで現実の非行について立ち止まって考える時はなかったのでしょうか。
それとも役に入り込んでしまっているのでしょうか。
ロクヨンも名作ですし、好きな俳優だっただけに残念です。
一番怖いのは人間
実は目に見えて悪い人も保険金殺人の家族のように間接的に悪い人もいます。
須藤のようにただただ楽しくて残虐なことをする人も、先生のようにお金のためなら何でもする人も、保険金殺人の家族や藤井の妻追い込まれてやむにやまれず悪いことをする人もいます。
生まれ持って凶悪な人、立場・状況が変わることで凶悪になってしまう人もいる。
そんな人間の怖さを描いた映画でした。
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