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Netflix「愛なき森で叫べ」感想ネタバレあり解説 北九州監禁殺人事件との関わり

10月にネットフリックスで公開された「愛なき森で叫べ」について書いていこうと思います。
最近では全裸監督がかなり大きなプロモーションを打って知名度が上がっているいるようですが、
こちらについては内容が内容だけあってあまり積極的なプロモーションはなかったように思います。

かくゆう私も前情報なしに見てしまって、話が進むうちにいろいろと引っかかるキーワードやシーンが出てくる中で
あ、これ『北九州監禁殺人事件』の話なのかとなりました。

この事件自体はショッキングでとても有名ですが、

闇金ウシジマくんのコミックス26~28巻の『洗脳くん』でも同様の描写がありますね。


自主映画を制作する若者や悲しみを抱える女性たちだけでなく、その家族の人生にまで入り込み、思いのままに彼らを操る詐欺師。そのゆがんだ欲望は尽きることがない

1995年。上京したばかりのシン(満島真之介)は、ジェイ(YOUNG DAIS)とフカミ(長谷川大)に声をかけられ彼らの自主映画制作に参加。ジェイたちの知人である妙子(日南響子)と美津子(鎌滝えり)に出演を依頼する。彼女たちは高校時代、憧れであったクラスメイトが交通事故で急逝するという衝撃的な事件から未だ逃れられずにいた。引きこもりとなっていた美津子に村田(椎名桔平)から電話がかかってきたのは、世間が銃による連続殺人事件に震撼していたころ。村田は「10年前に借りた50円を返したい」という理由で美津子を呼び出し、巧みな話術とオーバーな愛情表現で彼女の心を奪っていく。だが、村田は冷酷な天性の詐欺師だった。自身の姉も村田に騙されていた妙子によって彼の本性を知ったシンたちは、村田を主人公にした映画を撮り始める。やがて村田は、美津子の父・茂(でんでん)や母・アズミ(真飛聖)をも巻き込み、事態は思わぬ方向へ転がり始める…。

椎名桔平が、サイコパスの詐欺師村田丈を演じています。村田丈の右腕となり犯罪に手を貸して行くことになる若者を満島真之介、日南響子、鎌滝えり、YOUNG DAIS、川村那月、中屋柚香、長谷川大、藤井千帆、真飛聖、でんでん等が出演している。

そして、監督は園子温という題材とキャスト、監督ともに期待の持てる作品ですね。

映画のモデルとなった事件は北九州監禁殺人事件です。

闇金ウシジマくんを読んだ際に気になって調べた方も多いのではないでしょうか。
現実離れした残虐な事件で本当にこんな事件があったなんで信じられません。

Contents

園子温らしさ全開の仕上がり

私の感想は園子温らしさ全開の仕上がりだなっという印象です。

冷たい熱帯魚、愛のむきだしなんかを見て園子温ってこういうのを作る人なんだなって予想して見る人にとってはこんな感じねってなると思います。

よく言うと期待通り、悪く言うと予想通りといった印象。

個人的には全体的に良かったと思います。
死体の処理とかグロ、エロっぽい演出や人間の狂気を描いた描写は健在です。
クレイジーなグロいシーンは暗くなってしまうかと思いきや、
疾走感あるパンクな音楽で演出するなど変化に富んだ演出にも注目です。

北九州監禁殺人事件との違いについて

実際の事件をモデルにしていますが完全にトレースをしているというわけではありません。

イメージとしは人間関係や残虐な虐待についての描写は実際の事件を踏襲しながらも見せ方については自主制作映画の撮影クルーや別の連続射殺魔の描写などでモデルとした事件でサンドイッチしている印象を受けました。

思いのままに人をコントロールして、自分がは利用する側の人間だと思っていた欺師師の村田は実は利用されていただけだったというどんでん返しは映画ならではの展開ではないでしょうか。

椎名桔平のキャスティングが絶妙

サイコパス詐欺師に椎名桔平をキャスティングしています。

ここでもアウトレイジでも存在感を発揮した椎名桔平のサイコパス演技を見ることができます。
サイコパスの特徴として、
・表面上は口達者
・利己的・自己中心的
・自慢話をする
・自分の非を認めない
・結果至上主義
・平然と嘘をつく
・共感ができない
・他人を操ろうとする
・良心の欠如
・刺激を求める

そのすべてを変えね備えた村田を笑っていても目が笑っていない椎名桔平が演じています。

ロミオとジュリエット的世界観における死は解放なのか

この作品のシンという人物は村田に操られて搾取される女性を死という形で開放しています。はロミオとジュリエット』の小説を読んでいるため、「死」というものを古い伝統やしがらみからの解放という風にと捉えています。

青い髪の水島妙子役の日南響子がカワイイ

青い髪の水島妙子役は日南響子が演じております。

セクシーな役どころで気が強いように見えながらも村田に翻弄される役を見事に演じきっています。
なんか奥菜恵っぽい。
 

みどころはラスト20分

ラスト20分の森のシーンはまさにタイトル通り愛なきもりで叫んでいるシーンです。
美津子が殺される前に反撃します。美津子は妙子を憎んでいました。
村田に騙されたフリをして、シンの殺人鬼の本性を見抜き、シンが妙子を殺すように仕向けていたのです。
そして、最後に自分はもともと死にたかったと叫びシンに自分を殺させるのです。

手なづけていたと思っていたシンと立場が逆転しています。
シンは自分で汚していない臆病者だと村田をまくし立てます。

シンもまた自分自身の快楽のために村田を利用していたのです。
このシーンで表面的にはすべてを支配していたように見えた村田のチープさ、三流詐欺師感が回収されていますね。

ピュアを象徴である『制服を着たロミオ』について

森からでたシンと村田は対照的でした。
シンはピュアの象徴である制服を着たロミオを車の外に見ます。
一方で村田は制服を着ていない、いわばピュアさのないロミオが運転する車に乗り込みます。乗り込んだ車の女は行き先として『ゴートゥーヘル』とささやきます。
シンは車の外にみた制服をきたロミオを探して森に入っていきます。

この作品では誰もピュアな純粋さをもったロミオを手にい入れることができていないのです。

実話をもとにした映画はこちらもオススメです。

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